ブラックホールの周囲を回るような動きになる。
(これをレンス・ティリング効果という)
やがて特異点に近づくのだが「カー・ブラックホール」は
遠心力でリング状になっているので上手く宇宙船を操作すれば
リングの中央を突破出来る可能性がある。
(あくまで”理論上”ですが)
クーパーは何とかしてリングの真ん中に突入し
奇跡的にリング状特異点を通り抜けた・・・多分。
ーーーーー<ネタバレ>ーーーーー
◆クーパーが辿り着いた空間は?
死を覚悟してガルガンチュアに飛び込んだクーパーが見たものは上下左右に大量の書物が並んだ巨大な図書館みたいな場所。
良く見ると本の隙間から子供の頃のマーフや
自分自身の姿が見える。
この幻想的なビジュアルに「ココどこやねん!?」と混乱する事、必至!
この空間はブラックホールの最深部に存在すると言われる
特異点周辺を映像化したもの。
(厳密には特異点そのものではなく4次元超立法体”サテラクト”の映像化)
この空間は最新の宇宙物理学によって
科学的に検証された描写らしいです。
(とは言ってもブラックホールの中を見た人なんて誰も居ないので
科学的に正しいかなんて証明しようがないんですけどね)
問題は「何故こんな光景があるのか?」なのだが
ファンタジー感丸出しのこのビジュアルはどう見ても
”科学的に正しく検証された”とは信じ難い。
この空間は”サテラクト”と呼ばれる4次元超立方体で
マーフの部屋を通じて「過去」「現在」「未来」
全ての時間と連結しているという設定。
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(このシーンはCGではなく実際にセットを作って撮影している)
※この辺りは監督のCGよりセットを使った撮影方法を好む趣向によるものが大きいですね。
では、この「4次元超立方体」とは何なのか?
「幾何学の租」と呼ばれるユークリッドが記した『原論』では
次元を「立方(3次元)の端は面(2次元)である」
「面(2次元)の端は線(1次元)である」
「線(1次元)の端は点(0次元)である」
と定義している。
フランスの哲学者ルネ・デカルトは次元を
「1点の位置を決める為に必要な数値の個数」と定義した。
「1次元(線)なら距離X」
「2次元ならX・Y」
「3次元ならX・Y・Z」
で1点の位置を決定する事が出来る。
しかしこうした定義では3次元を超える次元を説明出来ないので3次元以上の次元の存在を認められていなかった。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは
「立法は”完全”であり3次元を超える次元は存在しない」
とまで論じた。
これを打ち破ったのが19世紀の数学者アンリ・ボアンカレ。
彼はユークリッドの定義を逆手にとり以下のように定義した。
・端が0次元になるものを1次元(線)
・端が1次元になるものを2次元(面)
・端が2次元になるものを3次元(立体)
・端が3次元になるものを4次元(超立体)
この定義は低い次元から高い次元へと登る点で
ユークリッドの定義に勝る。
この方法を使えば5次元でも6次元でも定義する事が可能であり幾何学の中で扱う事が出来る。
これは
「ある次元の図形をその次元に含まれない方向へ動かす事で元の次元より1つ高い次元の図形をつくる事が可能」という事。
即ち「立方体を3次元空間に含まれない方向に動かせば
4次元の超立方体が出来る」という事。
これが「テサラクト(テセラクト)」と呼ばれる
4次元超立方体である。
劇中でこのサテライトは”3次元”の人間とは別の時空に存在する”5次元”の人間によって作られた設定になっている。
主人公達が宇宙を移動する際に使用したワームホールを作ったのも”5次元”の人間だとされています。
◆5次元世界とは?
1999年、ハーバード大学で物理法則を研究する論理物理学者リサ・ランドール博士は”5次元世界”の概念を発表した。
それは
「5次元世界は3次元世界の縦・横・高さに4番目の時間、そして5番目の次元方向への距離で表される」というもの。
しかし「もし我々が2次元世界に住む生物だったら3次元世界を想像したり絵に描いたりする事は難しい。それと同じ事」と説明しており3次元以上の世界がどのようになっているかは現代の物理学では解明されていない為、その理解には量子論と一般相対性理論を融合させた「量子重力理論」の完成が必要。
ーーーーー<ネタバレ>ーーーーー
この実際には観測されていない物理学上の仮説を映像化したのがクーパーが見ている奇妙な空間になる。
彼のいる場所は全く異なる次元になり、ここでは時間の流れも一方的ではなく幼い頃のマーフから成長して物理学者になったマーフまで見る事が出来る。